グッバイ・メロディー
「うお、やっぱり花奈実がいる!」
ぶっ通しで歌い続けたとは思えない、ぜんぜん枯れていないキラキラボイスが、いきなりわたしたちの背中を叩いた。
アキくんだ!
こうちゃんたち3人も勢ぞろいだ。
みんなの疲れきったような、だけど晴れ晴れとした表情が眩しい。
「お疲れ、久しぶり」
名前を呼ばれた元カノ・はなちゃんはいたってクールに、さすがの美しさで笑んだ。
「季沙の隣にいんのもしかして花奈実なんじゃね?って半分くらいんトコで気づいて、マジでびびった。来るなら言っとけよー」
「季沙から聞いてるかなと思って」
アキくんとはなちゃんは元恋人どうしだけど、気まずいとかそういうのが本当にいっさいないな。
きょうも長年の友人のように、久しぶりに顔を合わせたとは思えないほど、ふつうに会話している。
ふたりのやり取りに感心していると、そっとこうちゃんが隣にくっついてきた。
そういえば、いちばんにお疲れさまと言うのをうっかり忘れてしまっていた。
もう限界に眠たそうな顔。
帰ったらちゃんとお風呂場に押しこまないと、このままベッドにダイブしてしまいそうだ。