グッバイ・メロディー


美術の成績はいつも3で、可もなく不可もなくという感じのわたしの画力。

色鉛筆か、絵具か、サインペンか、さんざん悩んだけど、結局クレヨンで描いた玉子焼きは、お世辞にも上手だとは言えなくて。


やっぱり、黄色が主張しすぎじゃない?
アキくんには爆笑されたし。


でも、4人とも優しいから、これで、と言ってくれた。

まさか本当に採用されちゃうなんて思わなかったから驚いたけど、いざこうして形になったのを見ると、やっぱり感動する。


わたしは結局どうにも4人の“ファン”だから。

大好きなバンドのジャケットを描かせてもらえるファンが、この世にはどれくらいいるんだろう。


「わたしも帰ってきたら聴こうっと。お父さんといっしょに! ね!」


最後の「ね」を写真の直おじちゃんに言うと、清枝ちゃんはこうちゃんのほうに向きあった。


「七回忌だからね。こんなタイミングでこんなことしてくれて、本当に喜んでると思うよ」


あの凍えそうに寒かった夜から、もう6年。

この週末は、直おじちゃんの七回忌の法事がある。




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