***


「葛原さん、どうした?」

 職場で店長に呼ばれ、はっとなって我に返る。
「すみません、何でもないです」

 不思議そうに首を傾げながら、店長は出来上がったオムライスをカウンターに置いた。

「珍しいねえ……葛原さんがぼーっとしてるなんて。何かあった?」
「いえ、何もないですよ」
 オムライスの乗った皿を手に取り、「行ってきます」とカウンターを離れた。

 すみません店長。何もないどころか、大ありです。

 あ、あんなプロポーズ(なのか?)みたいなこといきなりされて、動揺しないほうがおかしい。しかも相手は美麗なお坊さん……。

 絶対あれだけかっこよかったら、他からの縁談だって沢山あるでしょう?それが何故、初めて会った私???

 意味が分からない。

 支倉さんが帰ってから、魂が抜けてしまったかのように何も頭に入らず、そのまま一日を終えた。でも、よく考えたらこれでしばらく会うこともないし、会わなければ支倉さんだって私の事を忘れるでしょ!なんて思っていたら、

「何言ってんの、来月お祖母ちゃんの三回忌があるでしょう。お盆の時にちゃーんと支倉さんにお願いしておいたわよ。加藤さんもその頃は大丈夫だけど、自分もお手伝い致しますって仰ってたし」

 と母に言われ、ガツン、と頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。

 あ、会っちゃうじゃん……。

 

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