花火大会が行われる河川敷近くの駐車場に車を停めると、浴衣姿の女性や家族連れが楽しそうに歩いてる道を、支倉さんと二人並んで歩く。

 花火大会なんて来るの、何年ぶりだろう。
 最後に行ったのは、前の彼氏とだったかな……いや、友達とだっけ?覚えてないわーー

「支倉さんは花火大会毎年来るんですか?」
「いえ、全く」
 あら。
「全く……とは。仕事が忙しいから、とかですか?」
「そうですね、この時期はなかなか予定が立たないので。さすがにゆっくりとこちらに出向いて花火見物とはいかないですね。ですが今回は完全に目的が別のところにありますから、なんとか時間を作りました」
「……?別の?」
「貴女ですよ」
「……そ、そうですか……」

 ちょっと胸がキュンとした。支倉さんさりげ無いんだから……

「しかし、たまには花火見物も良いですね。童心に還ります」
 支倉さんは、行き交う人やちょくちょく遭遇する屋台を見ながら感慨深げ。

「支倉さんも、子供っぽいときなんてあったんですか?」
「……貴女は私を何だとお思いで?ありましたよそりゃ、昔は可愛いもんでした。縁日もよく行きましたね。射的が好きでね、よくやりましたよ」
 支倉さんが昔を懐かしむように、表情を緩めた。

 私はしゃがみこんで金魚すくいをするカップルを流し見て、再び視線を支倉さんに戻す。

「支倉さんお坊さんだから当たり前かもしれないけど、しっかりしてらっしゃるから。昔から今みたいな感じだったのかなと」
「流石に昔からこうではないと思ってますが……でも可愛いげのない子供、とはよく言われましたね。聞き分けがよくて、好むものが年寄り臭くて。ジュースよりお茶、ケーキより和菓子が好きでしたね」
「可愛いげないか……」

 私も言われたことあるな。大人になってからだけど。

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