不機嫌な彼のカミナリ注意報
 結局昨日は私が全力でも払えないような高級店ではなかったから、食事代を払いますと言ったのだけれど、バカかと真っ向から拒否されてしまった。
 じゃあ、約束通りビール代だけでもと訴えたら『金額がわからない』とか、『計算が面倒だ』とか、『そんなはした金は要らん』などと言って、結局のところ受け取ってはくれなかった。

 それらの言葉はいつも通り無愛想だったけれど、……なぜかカッコいいなと思った。

 そのスマートな振る舞いに、正直、私の胸はかなり高鳴っていた。

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