さくらへようこそ

1-3.輝の秘密

輝が働き始めてから、1週間経った日のことだった。

その日、校長先生は他校へ出かける用事があったので、駅の方へと向かっていた。

「あれ?」

見たことのある顔に、校長先生は歩いていた足を止めた。

「あれは…輝くんじゃないですか」

輝は誰か――と言っても後ろ姿だから顔はわからないが、親しそうに話をしている。

輝は会釈をした後、誰かから離れて歩き出した。

「あっ、輝く…!」

彼を呼び止めようとした校長先生だったが、
「あれ?

校長先生じゃないですか!」

それまで輝と話をしていた誰かが校長先生の顔を見ると、嬉しそうに言った。
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