「あ」

サークルの飲み会に少し遅れて到着すると、すでにあいつは先輩たちの輪の中で楽しげに笑っていた。

酒好きのあいつのことだから、その手の中の液体はきっといつものビールだろう。

そこに行くには少し遠いから、私は辺りを見回し、見知った仲間のいるところへと向かっていく。

先日めでたく二十歳を迎えた私は、ほろ酔いの先輩に促され、ひとつカクテルを注文させてもらった。

本当は、ビールのほうがいいかもしれないけど、まだ甘いお酒しか飲めないんだよね…。

届いた甘酸っぱい飲み物を楽しみながら、私は辺りのざわめきを静観する。


大学生になったばかりの頃は、驚きしかなかったサークルの飲み会も、一年過ごせばだいぶ慣れてきた。

多少の失礼は無礼講で許されることも。

ちょっとキワドイ話も、ある程度は流さないといけないことも。

酔っている先輩に絡まれることだって、仕方がないのだということも。

私がちびちびとカクテルを飲んでいると、ひとつ上の男の先輩が、私の肩に腕を回し、体重をかけてきた。

お、重い!!
「イエ~、飲んでるかぁ?」じゃないですって!
先輩の行動に眉間に皺が寄りそうになるけれど、こういう時に真面目な対応をしても盛り下げるだけだってことも私はすでにわかっている。

「飲みますよ、飲みますとも!」

早くどいてもらいたいという思いもあり、私はそう宣言してカクテルをあおろうとした。

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