ゆきあそび

洞窟


私の通っていた学校の後ろの山には、あそび場所が沢山あった。こむぎとはると畠山本と、皆があそびにくるので、私もだいたいそこへ行った。
岩の滑り台や木の枝、防空壕の跡。
皆は特に防空壕がお気に入りだった。肝試しをするのだ。
皆で怖がりながら防空壕に入った。
そこには狭く小さな穴があった。
体が小さな私は、皆を置いて入っていった。
微かに光が差している、出口かもしれない。
光の場所に行くと、森が生い茂っていた。
私は見知らぬ場所から皆の元に戻ろうとしたが、高さがある。私は戻るのをあきらめた。
見慣れた木はあるものの、見たことがないお地蔵さんがあった。
こんなお地蔵さんはあったかな。
私は防空壕の上を歩いた。
しかし、ずっと外れて歩いてしまったようだった。
どんどん知らない森に入っていった。
途方にくれ始めると、知らない男の子に出会った。
「何年生?」
私が尋ねると、男の子は二年生だと言った。
学校が違うようだった。
見たことのない子だった。
「小学校の方に行きたいんだけど、どっちに行けばいい?」
男の子は迷っていない様子だったから、きっと知ってるはずだ。
「あっちだよ」
男の子は自分のきた道とは違う方を指した。
ありがとう。と言って私はその道を歩いていった。
皆はもう家に帰っていた。
「かってにどっか行っちゃうんだもん」
そう言ってはるは私を避け始めた。
「だって…」
私はなにか言い訳をしたような気がしたが、その日からこむぎも私を避け始めた。
しかし、畠や山本とは一緒にあそんでいたから、特にその日々は淋しくは無かった。
別の女友達と私はあそび始めた。

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