イージーラブじゃ愛せない
「胡桃、明日も休みっしょ?今日うち泊まってかね?」
りんと風間くんを送ってから、ジョージは助手席に乗せたままの私に早速そんな事を言ってきた。
「ガッつくなっての。そもそもジョージは明日仕事でしょ」
私達の仕事は接客業なので休みは当然シフト休だ。なので基本的に普段はみんなバラバラ。事前に希望を出せば今日みたいに併せて取る事もできるけど。
「そうだけどさ。今夜は一緒にいたいよ」
「私、朝慌しいのやだよ」
「胡桃はゆっくり寝てていいから」
食い下がるジョージに、面倒くさいなあと思いながら溜息をひとつ流す。
窓の外は冷たそうな秋の風。きっと外は寒い。寒いのは嫌い。だから、まあ……いいか。
言い訳をひとつ見つけて、そんな自分にもうひとつ溜息。
「……アパート着く前にコンビニ寄ってよ。何の支度もしてきてないんだから」
窓の外を眺めながらそっぽを向いて言ったというのに、ジョージが満面の笑みになった事が雰囲気だけで分かる。ほんっと、感情丸出し。駄々漏れ。
最後にもうひとつ吐いた溜息は。
自分に言い訳を必要としない彼の性格への、羨望。