髪を切ったのは失敗だった。


「似合いますよー」


なーんて美容師さんは言ったけど、前髪はパッツンだし後ろも短くてスースーする。

たまにはイメチェンなんて思ったけど、間違いだったな、なんだか恥ずかしいや。
けれども、切ってもらったからにはお金を払わなきゃいけない。

微妙な顔をしているあたしに気づいたのか、美容師さんはぎこちない笑顔を向けて「また、何かあったら言ってくださいねー」と言った。


「あはは、はい」


ぎこちなく笑ってそう返したけれど、言ったところで切った髪は戻せないでしょ?

前髪伸ばしてくださいなんて言って困らすのは、二十一歳の女のやることではない。


終わったことは仕方ないかぁ。

ため息一つを置き土産に美容院を出た。
 


 そのまま、自動車学校のバスに乗るために乗り場になっているスーパーの前まで歩いた。

スーハースーハー。
わざとらしいくらい大きく深呼吸をする。

大丈夫、落ち着いて。大丈夫大丈夫。

呪文のように繰り返して顔を上げる。

今日は路上教習二回目だ。

最初の時は緊張し過ぎて震えちゃったけど、今日こそは落ち着いて乗ろう。
今日はお天気もいいし、運転するのにも視界が良い。
ハンコをもらえるように頑張ろう。

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