あたしの部屋はアパートの二階だ。
トントンとリズムを刻みながら階段を登り、三番目の部屋の鍵を開け電気をつける。

 梅は一晩冷凍しておくと良いと書いてあったので、あたしは梅のヘタをひと通りとった後、冷凍庫の冷凍食品を取り出して、そこに梅を突っ込んだ。

この入らなくなってしまった冷凍食品で夕飯にしよう。
うん。我ながらナイスアイデア。

陽が長いこの時期、まだ外は明るい。
カーテンを閉めるのもまだ早い気がして、窓際に寄ってベランダを眺めた。

プランターのプチトマトが赤くなっている。収穫しなければ。


……今日、彼は来るかな。
昨日来たばかりだから、来ないかなぁ。


夕飯の事を考えるとき、いつも彼の事を思い出す。

学生の頃は毎日のように来て一緒に御飯を食べていたのに、社会人になってからは忙しいのかたまにしかこない。

それでも癖になっていて二人分を作ってしまうから、あたしは夜と同じおかずを朝にも食べてしまっている。
うむ、太ったのはそのせいかもしれない。


彼の名前は近藤 亘(こんどう わたる)、一つ年上の22歳で今年の春就職したばかりのフレッシュマンだ。

あたしの一番つらい時期を、支えてくれたのが彼だ。

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