きみと世界が終わるまで


ゆりあはどうやら、時計を見ることなく僕と一緒に今が何時なのか考えてみたかったらしい。


……どんな理由なんだよとそう思ったけれど、なぜかゆりあを怒る気にはなれなくて僕は思わず笑ってしまった。


なんて言えばいいのかな。


可愛い、というのが合っているだろうか。


だって自分の腕に時計があるのにわざわざ僕と一緒に時間を考えたかったなんて、こんなに可愛いことをするのはきっとゆりあしかいない。


そしてそんなゆりあを受け止めてあげられるのも、僕だけだとそう思いたい。


「何時だろうね」


僕が言うと、ゆりあは視線を前に向けて景色に目をやったから、僕もゆりあと同じように前に広がる景色を眺める。


青々とした海に、さらりとてのひらからこぼれ落ちそうなほどに真っ白な砂浜。


海面の向こうのほうは朝日で茜色に染まり、その遥か上を鳥たちが気持ち良さそうに大勢で泳いでいる。


とてもきれいなこの景色をきみと今見られたことが、僕にとってとても嬉しい。


「5時を少し過ぎた頃かなあ」


目を景色から僕に移したきみに気づき、僕は口角を僅かに上げた。


「……僕もそう思うよ」

「優太はそれがファイナルアンサー?」

「うん」

「私も、ファイナルアンサー」


ゆりあはふふっと笑うと、正解を見ようとしているのか自分の時計に目を配る。


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