現代のシンデレラになる方法

幸せ




赤、青、ピンク、黄色、オレンジ。

日本から遠く離れた海に住む色鮮やかな魚達。

中には蛍光色に近い色の魚もいて、目がチカチカしてしまう。


「すごいですねー。こんな綺麗な魚が海にいるんですねっ」

「オーストラリアの方にいるみたいだな」

「へー。全然想像つかないや」


先生が水槽の横にある説明を見ながら教えてくれる。


そう今日は先生と水族館に来ていた。

水族館なんて何年振りだろう、もしかして中学生の課外授業以来かも。

しかも大好きな先生と一緒になんて嬉し過ぎる。


深海に住むという全然動かない魚。

時折驚く程早く泳ぐカツオの群れ。

水の中へ入ろうと歩く姿が可愛いペンギン。


先生と話しながらゆっくりぐるっと一周見て回る

休日とだけあって、人がたくさん。

私は何度か人の渦に埋もれてしまい、その度に苦笑した先生に手をひかれて救出された。



水族館を見終わって外へ出ると、すぐ近くにある観覧車をちらっと見る。


……2人で乗りたいかも。

夕方時の今、乗ったらきっと夕陽が綺麗。

先生と見れたら、


「乗りたいのか?」

「えっ!」

自分の思考を読み取られてしまい、思わず焦る。

そんな分かりやすい顔してたかな。

恥ずかしくて顔が熱くなる。


ちらっと先生を見上げると、優しく微笑んでくれる。

もう全部先生にはお見通しみたい。

こんなにバレバレなんだから、もう言うしかない。


「の、乗りたいです、先生と……っ」

そう言うと、私の手を握って観覧車へ。




「うわっ、すご。結構高く感じるもんだな」

「あ、あ、そうですね……」

「えっと、ひなたさ……、高いところ苦手だろ?」

「はい……っ」

「なんでまた観覧車なんて」

「先生と綺麗な景色を見れたら、と……」


……甘かった。

観覧車には一度は乗ってみたかった。

だけどあまり機会がなくて乗ったことがなかったのだ。




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