現代のシンデレラになる方法


一瞬のできごとで、思わず声をあげてしまう。

「きゃっ」

そしてまっすぐ私を見下ろす先生。
冷たい目だ、こんな目見たことない……。

耐え切れず、目線をずらした。


「……相澤は男ってものを知らな過ぎる」

「……え?」

「男はな、やりたきゃ別に好きな女とじゃなくてもやれるんだよ」


目の前が真っ暗になって、頭をガツンと殴られたかのような衝撃が走る。


……大好きな先生からそんな言葉聞きたくなかった。

私の中で勝手に作り上げていた、先生の理想像が崩れていく。

我慢できなくなった涙が次から次へと溢れ出す。


「せ、先生もですか……?」


泣きながらそう聞くも、先生は黙ったまま。

いてもたってもいられず、先生の体を両手で押しのけて車から飛び出した。



なんで、先生はそんな人じゃないでしょ……?

どうしてきっぱり違うって否定してくれないの?


なんで、なんで。


それとも、

本当に、女の人なら誰でもいいんですか?

先生はそんな人だったんですか……?




……そうだ、私は男の人のことなんて何も知らない。

だって今まで、男の人と全然関わり合いのない世界にいたんだもん。


そもそもそんな私が、男の人に恋をすること自体おかしなことだったんじゃ……。


先生のことが大好きだったのに。

先生に優しくされるうちに、どんどん好きになって。

そうやって、先生への想いは強くなっていたのに。


でも、その気持ちは……

恋じゃなかったの……?


ただ私は男の人に幻想を持って、先生の本質も何も見れていなかったの?


< 49 / 196 >

この作品をシェア

pagetop