小さい頃から自慢の兄貴だった。

勉強も運動も大した努力もせずに、いつも人より優れていた。

そして、いつでも人の中心にいた。

そんな完璧な兄貴はいつしか俺の憧れになっていた。



だけどそれ以上に抱く強い感情があった。



俺は兄貴とずっと比べられてきた。 

仕事命の父さんに、自由奔放な母親。

母さんは俺より兄貴を可愛がり、父さんは俺より兄貴に期待した。

にぶい兄貴はそんなこと一切気付かなかったが。

俺を見て欲しくて人一倍努力するのに、絶対に兄貴を越すことはできなかった。

皆、俺を東條貴之の弟という認識で見る。

完璧な兄のレッテルがどこにいっても俺の前につく。

誰も東條昴という1人の人間としては見てくれなかった。


そんな、なんでも器用にこなして、皆から愛される兄が、

疎ましかった。


そして、誰も俺自身を見てくれないと嘆いていた頃。

やっと俺だけを見てくれる人と出会った。

一緒にいるだけで、心の穴が埋められていく気がした。

……だけど、それも長くは続かなかった。


性格が破綻していったのは、この頃からだろうか。


そんなもんだから、俺は俺なりの愛され方を身に着けた。

俺は兄程、器用に人生歩んでいけない。

だったら、自分なりに人から気に入られるように愛想を振りまかなくてはいけない。

それが俺の人生の処世術だった。


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