星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】



「百花ちゃん顔色悪いけど、どうかした?
 もしかして体調崩した?」

握手が終わった直後、託実が声をかけてくれる。


「あっ大丈夫です。
 ちょっと苦手な化粧品の匂いに酔っちゃって」

「そう、無理しないで。今日も有難う」

「託実さん、今日も凄く素敵でしたー。

 憲さんが走りそうになるの、
 またばっちり抑え込んでましたねー。

 憲さんに話したら、
 託実さんに助けられた―って話してましたよ」

「あぁ、お互い様かな。
 でも良く見てるよねー、俺たちのこと」


そう言いながらも託実さんの視線は、
私の何かを捉える。

「あれ、そのチョーカー。
 可愛いね」

「あっ、手作りなんですよ。

 こんなんで良かったら
 今度、託実さんに似合うものファンプレゼントしますねー」

「有難う」



夢心地で会話を続けてたら
スタッフさんに睨まれ逢瀬の時間は終わってしまった。



写真は託実の腕の中で抱かれるように
……パシャリ。


後ろ髪を惹かれながら……
最後、Takaの元へと移動する。



「今日も有難う。

 託実さんとの逢瀬は楽しかった?」


なんて話しかけてくるTaka。



Takaとも普通の2ショットを
撮り終えてステージを降りる際に
今日の記念写真を5枚頂いていく。



先に握手会を終えて、
放心状態になってる唯香と合流して
会場近くの居酒屋で二人打ち上げ。





Ansyal談義に、これでもかってくらい花を咲かせて
終電で自宅へと向かった。







切ないくらいの片思い。

疑似恋愛かも知れないけど、
託実の全てが私を穏やかに包み込んでくれるから。




理想に焦がれつづける夢のような甘い時間。




もう少しだけ、
この夢の中に溺れたくて。

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