星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】



「今日から、三日間一緒に楽しもうな。

 まず、バスは二台あるんだけど、
 各、観光スポットごとにメンバーが抽選で
 乗り込むから そこんとこ、宜しく。

 まずお前たちが乗ってる一号車。

 こっちは最初の観光スポットまでは、
 オレ、十夜と託実がご案内。
 
 Taka、祈、憲は今は二号車だからな。

 普段、ほとんどしゃべらない
 アイツラで、あっちは持つんだろうか。
 
 まっ、こっちはこっちで 盛り上がって
 いこうぜ」


隣でファンを煽り続ける
頼もしいパ-トナー。



バスの車内、見渡すように
百花ちゃんの姿を探す俺自身。





バスの中に居るファンは、
百花ちゃんだけ、彼女だけじゃないのに……。



これ以上彼女と関わることで、
傷つくことを知りながら
彼女の姿を探し続ける俺自身。




あっという間に彼女とのバス旅を共有できた時間は終わり、
最初の観光名所へと到着。


観光を終えて、その後も何度も抽選で乗り込むバスを決めるものの、
襟が再び、1号車に戻ることがないままにホテルへと到着した。


ホテルでチェックインを済ませると、
自分の宿泊する部屋へと立ち入って
ミニライヴの準備をして、
ファンと一緒にディナータイム。


ディナーの後、約一時間の
ミニライヴ時間。


ミニライヴの後、
十夜は明日のイベントの説明を行う。



「今日は有難う。
 香港は眠らない街。
 
 今から夜の街にくりだしたい子も
 いるかも知れないけど明日の朝は時間厳守で。

 香港ディズニー、夕方までみっちり楽しんで。

 ディズニーでは俺らメンバーが四回、
 それぞれのゲームの商品にエントリー出来る権利となる
 番号の書かれたアーシャ【アーティスト写真】を持って出没するから。

 皆、ディズニー楽しみながら俺ら、見つけてな。

 特等は、明日の夜100万ドルの夜景。

 今日最後に観光したあのビクトリアンピークで
 二人きりの夜が望めるBIGな商品。
 
 今日の友は明日の敵。
 
 っとは言っても喧嘩せんと明日は楽しもな」



黙々と演奏を続けた後、
十夜のその言葉で長い一日が
終わりを告げた。




その夜、一人部屋に戻って
静かに隆雪を思いながら
お酒を酌み交わす。


テーブルに並べた2つのグラス。

隆雪のグラスの前に
アイツは居ないけど……
今もアイツの心は俺と共にある。





眠らない街。




大切な思い出の詰まる
香港の夜はゆっくりと過ぎていく。
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