…俺が、君を最高のヒロインにしてやるよ…

突然のそんな誘いに呆気にとられつつも、私は今のやりとりを何度か頭の中でリピートした。

そして出た結論は、

「何の冗談ですか?」

だった。

その反応さえも、彼にとっては予想の範囲内のようで、相変わらず余裕綽々の笑みを浮かべている。

「冗談なんかじゃない。本気も本気の真面目な話だが?」

向かいの男がそう告げる様子は、余計に胡散臭さを醸し出す。
私は眉間に皺を寄せ、軽蔑の眼差しを向けた。

「どいてください。私、そんなことに付き合ってられるような人間じゃないんです」

そう言って男の横をすり抜けようとした。
だが、再び腕を掴まれる。

「ちょっと!!いい加減に…」

「君は今の生活に満足していない。違うか?」

「………!!」

「人生を変えたいと思ったこと、あるだろ?」

その確信を込めた台詞に、言葉を失う。

…いつだって、自分の人生に満足するって決めたじゃない…

私の口癖が頭の中に浮かぶ。
ただの理想論にも思えるその言葉。

それは確かに本心だ。どんなに難しいことか分かっていても、そう思えたらいいとずっと思っている。

でも。
どうにかして自分の人生が変わらないか。
そう期待しているのもたしかに事実で。

言い返そうにも、上手い言い訳なんて思いつきもしない。

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