éclosionのフロアの待合スペースで、ぼんやりと窓の外を眺める。

蓮さんがいないからといって、私の稽古やケアがなくなるわけではない。
聞いてみたら、今後半年分の支払いは蓮さんによって既に済んでいるらしい。

蓮さんが用意してくれている手前、やめることもできない。

私はただ、毎日のノルマをこなす日々を続けていた。


私、何のためにここにいるんだろう。
ぼんやり窓の外を眺めながら、そんなことを考える。

蓮さんのために。
蓮さんの期待に応えたいから。
蓮さんが側にいれば。

そう思ってやってきたのに……。

まるで、目印となっていた灯台が急に消えてしまったかのような感覚。

このまま進んでいたら、私はいつか難破し沈んでしまうのではないだろうか。

窓の外を小鳥が何羽か飛んで行った。
その向こうの空は、どこか少しどんよりしている。


「笹原さま、お疲れ様でした」

「今日も本当にありがとうございました」

桐島さんがお客さんを連れて出てきたようで、中の方から明るい声が聞こえてきた。
桐島さんの呼ぶ苗字が覚えのあるもので、私は思わず声のする方へと目をやる。
するとそこには、桐島さんと、私の予想通り、見覚えのある人の姿があった。

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