まだ、蓮さんに捨てられるわけじゃないんだ。

その事実に安心する一方で、私は改めて冷静に、この前初めて会話した副社長のことを思い出していた。



あの人が副社長。
爽やかで、笑顔が素敵な、まさに王子様、という男性。

けれど最後に見せたその笑顔は、何故か感情の込もらない機械じみたものに思えた。
会社で上に立つ人、というのはそんなものなのかもしれないけれど。

けれど、まだ清掃員の仕事をしていたころに挨拶をしてくれた彼は、もっと魅力的な人に思えたのにな。



そう思いながら雑誌をパラパラとめくって待っていると、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。

「お待たせしました、進藤さま」

「今日はよろしくお願いします、ケンジさん」

私は今、美容院に来ていた。
それは、今日出席するパーティー、副社長の付き添いを務めるパーティーのヘアメイクをしてもらうためだった。

「今日はパーティーということでしたね。どんなイメージとかはありますか?」

「上品で、華やかな女性になるように。お願いします。あと、今日のドレスに合うように…」

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