グレープフルーツを食べなさい
「そうですよ、ほら」

 響子に肩を叩かれ顔を上げると、野々村部長と談笑している上村の姿が見えた。

 相変わらず見栄えのする男だ。

  涼やかな目元に、少しくせのある髪。身長はたぶん180センチを超えてるはず。

  この部で一番背が高いはずの野々村部長が、上村のことを少し見上げて話していた。

「しばらくはみんな落ち着かないわね」

 みんなっていうのは、まあ主に女の子たちだけど。

「そうなんですよ。見てくださいよ、あの美奈子の張りきりよう!」

 響子に腕をつつかれて、こっそり美奈子の顔を盗み見ると、出勤した時よりもいくらか化粧が濃くなっていた。

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