グレープフルーツを食べなさい
永遠
 季節は駆け足で通り過ぎ、毎日通勤時にはコートが欠かせなくなった。

 十一月も半ばを過ぎたばかりだというのに、街はすでに赤とグリーンのクリスマスカラーで溢れている。

 私は、表面上はこれまで通り平穏な日々を過ごしていた。

 仕事と母、それが今の私の生活の全てだ。でも、一つだけ変わったことがある。

 あれから、ふとした時に考えるようになっていた。

 私は、これからどうしたい?

 母のことを理由に、このままこうしていることが本当に正解なの?

 母の存在を言い訳にして、そこそこ安定している今の生活を手放したくないだけじゃないの?

 そんな自問自答を日々繰り返すようになっていた。

 何よりもあの夏の終わりの日、母に言われたあの言葉が常に頭の中にある。

 『心の赴くままに』。母はそう私に言ったけれど。

 私が望む未来は、一体どこにあるのだろう――。


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