氷と魔女《specialstory 完結》

失われた過去

「千草…貴方はね、ちょっと特別なのよ。ちょーっとだけ、ね」

「とくべつ?」

「そうだよ。お父さんもお母さんも、亡くなってしまったおばあちゃんもおじいちゃんも、みんな、同じ『特別』を持ってるんだ」

「なに!おしえて、おしえてー!」


まだ幼かった私は、『特別』という言葉に敏感になって、知りたがって両親に「はやく!はやくー!おしえてよー!」と迫った。


「うふふ…
じゃあ、ちょっと見ててね」

お母さんは人差し指をたてて、お父さんに向かって、ぽんっと振った。

すると、お父さんは…


「わーー!
ねこしゃんになってるー!」


お父さんは、真っ黒な黒猫になっていた。


「これで、分かったかな?」

お父さんは元の姿に戻って、言った。


「僕達は、魔法使いなんだ」
< 2 / 316 >

この作品をシェア

pagetop