サヨナラなんて言わせない
追憶

「わぁっ、それ凄い!!」

「えっ・・・・?」

背後から突然現れた顔に思わず身を引く。
顔を上げたその人物と至近距離で目が合う。
その瞬間、何故だかその綺麗な瞳に吸い込まれそうな錯覚を覚えた。

「・・・・あっ、ごめんなさい!!私ったら・・・。ちらっと見えたこの図面が凄く素敵だったからつい・・・驚かせてしまってごめんなさい!」

ペコペコ頭を下げるとその人は逃げるようにささーっといなくなってしまった。


・・・・・今のは一体なんだったんだ?


もしかして新手のナンパの一種だろうか?
・・・なんて、俺がこんな自惚れのような思考に至るにはきちんと理由がある。

高校に入ってグッと身長が伸びてからというもの、自分の望む望まざるに関係なく気が付けば女性にもてるようになっていた。
積極的に押してくる女性に俺は戸惑いを隠せなかった。


何故なら・・・・俺は極度の女性不信だからだ。

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