もうひとつのエトワール
終章
「好きな色は……淡い感じの色ですかね。好きな食べ物は甘いもの全般で……あっ、特にキャラメルが好きです!あとは、苦手なものでしたっけ?えっと、苦手なものは……虫と、お化けと、極度に苦いものと辛いものですかね」
ひとしきり自分のプロフィールを述べたところで、不思議そうな顔して首を傾げる真希を、まじまじと観察するように見つめる。
「なんで急にそんなこと聞くんですか?菜穂さん」
見慣れているはずの眼鏡を押し上げる仕草も、彰良とは違って真希には可愛らしさが滲み出ている。
またその可愛らしさに計算しつくされたいやらしさがついてこないのが、真希の真希たる所以でもあった。
「うん、やっぱりあたしには無理だわ」
改めて実感したことを声に出すと、真希の頭上にハテナマークが二、三個増えた。
「何がですか?」
疑問でいっぱいになって眉間がキュッと寄っているが、どんな顔をしても可愛くきまってしまうから腹が立つ。