クローバー的恋事情
終わる恋
「ただいま。お兄ちゃんはまだ?」


帰るとお母さんしかいなかった。


「遅くなるから、ご飯いらないって連絡あったわよ。葵もご飯いらなかったよね?」


「うん、駅弁食べたよ。そうそう、これお土産にもらった。お店で食べたけど、すごい美味しかった。食べる?」


「食べる、食べる。紅茶入れようか?」


お母さんが紅茶を入れている間に、私はバウンドケーキ二種類を切り分けた。私は、チョコのをもらったのだが、抹茶のをもらった藤沢さんが1人では食べきれないからとくれた。


「あら、美味しいわね。あ、そうそう、土曜日にお父さんが帰ってくるって」


「そうなんだ。2ヶ月振りじゃない?やっと落ち着いたのかな」


お父さんは単身赴任で大阪に行っている。大体、1ヶ月に一度は帰ってくるのだけど、春は異動や新人教育に忙しいらしく先月は帰って来ることが出来なかった。

お父さんがいなくて、不便もないし、寂しくもないけど、やっぱり家族が揃うのは嬉しい。
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