悪夢を見た。

月明かりが煌々と照らす道で斬り殺した男の夢。

男は血に塗れた体でゆっくり近づいて来ると、口を小さく動かし始める。

最初は聞き取れない……。でも、距離が縮むにつれ少しずつ、少しずつ聞こえてくる。

「おまえが、俺を‥‥‥殺した」

この一言が体の奥から全身へと波の様に広がっていく。

「っあ、ごめんなさい‥‥‥。私、あの時殺すつもりは、無かったの」

「でも、俺は死んだ‥‥‥おまえが殺したんだ。俺には家族がいたのに、仲間もいたのに‥‥‥」

「ごめんなさい!ごめんなさい!許して、ください」

涙を流しながら謝るけど、男の言葉から解放されない。

耳を塞ぐけど、男の言葉が聞こえてくる。頭に直接話し掛けられているようだった。

怨念を含んだ声が、頭の中を反響していく。

気持ち、悪い……。

胃の中を手で引っ掻き回されている感じがして吐きそうだ。

夢だって、分かってるのにどうしてこんなに苦しいの‥‥‥?

「もう許して……お願い……」

しばらく反響する声と吐き気に耐えていると、声がピタリと治まった。

恐る恐る目を開ける。

すると、そこには沢山の骸が転がっていた。

よく見るとそれは、家族や大切な友達、それと時代を越えて出会った人達だった。

この人達を殺したのは私が殺した男。

男は今も私の大切な人たちを殺めていく。

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