私の師匠は沖田総司です【上】
師匠、副業を始めます
大阪から京に帰ってきて数日後。

月は神無月から霜月に変わっていました。

「はぁ……」

私の重い溜息が落ち葉と共に落ちる。

山南さんの負傷した左腕は、史実通り自由に動かなくなっていました。

それからしばらく、山南さんとは顔を合わせていません。

山南さんはずっと部屋に閉じこもっているのです。

食事の時に一緒に食べましょうと言っても、部屋で食べると言って出てきません。

山南さんの元気がなくなってからというもの、屯所にも暗い雰囲気が充満しています。

組長も元気がありません。

この前、組長が好きだと言ってくれた、みたらし団子を作ってあげたのですが、いつもより食べてくれませんでした。

「はぁ……」

また溜息を吐いてしまいます。

師匠に山南さんの未来を変えると意気込んで言いましたが、正直言うとすでに挫けそうです。

「天宮」

縁側で溜息を吐いていたら、腰に刀を差した斎藤さんがやって来ました。

どこかに出かけるのでしょうか。

「どうしました?」

「今日、俺と一緒に、鍛冶屋へ行くと約束していただろ」

「……あっ、そうでした!!」

折れてしまった師匠の刀を直しに、斎藤さんと鍛冶屋に行く約束をしてたんだ!
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