コーヒーを一杯


「お揃いの友達。ここに連れてきたら?」

キーホルダーへもう一度視線を送り、女性が訊ねる。

その目が真っ直ぐすぎて、まるで華みたいで、私はずっとみていられずに目を逸らした。
自分の黒い部分を見透かされているみたいで、落ち着かなくなったんだ。

逸らした視線を窓の方に向ければ、ふわりと優しい風がカーテンを揺らしていた。
私はそのカーテンの方へ視線を向けたまま、女性の質問に力なく応えた。

「来ないと思う……」

視線を合わせずに応える私の顔を、女性がカウンター越しに覗き込んでくる。

「どうして?」
「私なんかが誘ったって、きっと来ないよ」

そう。
最低な私なんかが誘ったって、来るわけない。

「けど、お揃いなんだから。仲がいいんでしょ?」

女性の質問に、私は小さく首を振った。

仲なんて、よくないよ。
だって、私何もしてないもん。

華が毎日辛い思いしてるのに、私何もしてない。
何もしてあげられてない。

それどころか、見て見ぬふりしてる。

最低。
ほんとに、最低……。

そんなの、仲がいいなんていわないよ。

華だって、きっとこんな私のことなんて、恨んでいるに決まってる。

だって、私は同罪だもの。
あの担任と何も変わらない。
使えないなんて思っている担任と、何も変わらないんだから。


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