全部、抱きしめて
「それしかないでしょう? あんたも寂しいから一緒にいる。違う?」

どうなんだろう?
紗江にうまく言葉を返すことが出来ない。

そりゃあ、最初のうちは寂しくて慰めてもらってるような部分もあったけど。

最近は違うような気もする。

「あんたさ、妊娠でもしたらどうするつもり? 好きでもない男の子供産める?」

「ぶっ!」

口に含んでいた、ウーロンハイを吹き出しそうになる。

ゴクン。何とか飲み込む。

「に...妊娠って話の規模デカくない?」

「でも、やることやってるんだよ! その可能性はなくはないのよ?」

「でも...」

ちゃんと避妊してるし。
何だかこのあたりは生々しくて口に出せなかった。

「まぁ。さっさっとその男とは関係切りなよ!」
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