ルージュのキスは恋の始まり
4、安心できる場所 ー 美優side
「美優、何かあれば必ず俺に連絡してよ。仕事中は脇坂さんに携帯預けとくから。俺が出れなかったら脇坂さんが出るように言っとく」

 大河が私の事を心配して声をかける。

 昨夜、私はかなりうなされていたらしい。

「美優!」

 大河が異変に気づいて私を起こした時、私の着ていたパジャマは汗でぐっしょり濡れていた。

 呼吸は乱れ、起こされても夢か現か一瞬わからなかった。

「美優、大丈夫。夢だよ」

 大河が私を抱き起こし、優しく髪を撫でる。

「大河?・・・・夢・・」

 あの事件の夢を見ていた。

 夢で良かった。

 夢の中ではもう絶望的な状況で、苦しみもがいていた。

 実際には大河が助けてくれたけど。
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