ルージュのキスは恋の始まり
5、彼女の寝言 ー 玲王side
「ちゃんと自分で責任とって下さいね、ボス」

 片岡が困っている俺を見てクスリと笑う。

 こいつは基本的に冷たい男だ。

 そして、こういう時に全然使えない男。

「お前にボスって言われると気持ち悪い」

「ええ。わかって言ってますから」

 片岡が平然とした顔で言う。

「・・・・」

 この性悪男め。

 思わず舌打ちする。

 さあて、どうするこの女?

 自分の腕の中のこの女はあまりにも無防備で、逆に手を出すのは躊躇われる。

 といっても、こんなに目立っていては何も出来ないが。

 いつの間にか人だかりが出来ていて、俺達の様子を社員がじっと見ている。
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