裏腹な彼との恋愛設計図
デートを承諾しておいて、本当今さらなんだけど。

トマトソースの中で泳ぐナスをフォークでつつきながら言うと、朝海は持っていたグラスを置いてふっと笑みをこぼす。


「真面目ね、紗羽は。恋愛経験がないわけじゃないのに、何でいつまでもそんなに純なのかしら」

「え、純?」

「悪く言えば考え方が幼いってこと」


あう、その正直な言葉がサクッと胸に刺さる……。

たしかに私は精神年齢が低いって、自分でもわかってはいるけれど。


「ただ男女二人で出掛けるだけでしょ? 別に試しに付き合おうってわけじゃないんだから、そんなに深く考えなくても大丈夫よ」

「そうか……」

「紗羽が男の子と遊ぶなんて久々なんだから、気楽に楽しんできなよ」


私の肩をぽんぽんと軽く叩く朝海に、「そうだね」と笑って頷いた。

矢城くんも言ってたじゃない。お互いを知るためのデートであって、付き合う前提のものじゃないんだから。

こんな機会滅多にないし、余計なこと考えないで楽しんでこよう!


心の隅に引っ掛かる、正体不明の違和感には気付かないフリをして、私は自分にそう言い聞かせていた。




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