残り少なくなったライムサワーのグラスを、ことりとテーブルに置くと、三木さんがドリンクメニューを渡してきた。


「まだ飲めそうですか?」

「あ、はい」


ただうなずいただけなのに、三木さんはうれしそうににっこり笑う。

戸惑い気味の視線を向けると、「ようやく、わだかまりが解けた」と、感無量の様子。


いい人なんだ。この人は。

仕事に熱心で、少し熱くなりすぎちゃって、だからミスをした私に厳しい言葉で責めて、でもそれを反省して。


「実はね、あの日、仕事終わった後に小林さんにどやされたんです。『沢渡さんが落ち込んでる、原因はあんたでしょ』って」


意外な名前に、目をパチパチさせる。

小林さんが秘書についている役員さんは、三木さんのいる部署とは異なる分野を担当しているので、小林さんと三木さんの接点も分からず。


「ああ、小林さんは大学の先輩なんですよ。就活のころからずいぶんとお世話になっていて、頭が上がらないんです」

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