翌日。

昼休み後、私は経営戦略企画部におつかいに出向いた。

古巣に顔を出すみたい。

ただ、用があるのは、経理課でなくIR課。

役員に急ぎで目を通してほしい書類があるとのことで、IR課の担当者さんとの顔繋ぎも兼ね、私がおつかいを頼まれたのだ。


フロアひとつしか変わらないので、階段を使うといい。

小林さんに言われた。


秘書課執務室の奥の方のドアを出入りするのはまれ。

が、その先に女性用化粧室や給湯室や非常階段がある。

エレベーターや役員さんの個室も、ぐるりと回れば、廊下で一続きだけれども。


壁に囲われた非常階段は、人けがまるでなく、カツンカツンという私の足音が響くばかり。

私は極秘マークが施されたファイルを両手で抱え、ひたすら階段をのぼっていた。

一人は落ち着く。

秘書課の空気も嫌いではないとはいえ。

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