彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
◇ツッパリ警報発令!ウォンテッドにご用心!!

夕暮れ、授業を終えた生徒たちが下校する時間。

たくさんの学生達の中、私は目立たないようにしていた。



「ふあぁ~」

「凛ちゃん寝不足?」

「うん・・・ちょっとね。」



あくびをかみ殺したところを、友達に見られた。

心配そうに聞く相手に、笑ってごまかした。

学校が終わった後、学校が休みの日の深夜など。

家を抜け出して、『凛道蓮』としてバイクの練習を続けている私。



(とはいえ、瑞希お兄ちゃんを怪我させるようなへまな運転をして・・・私のばか!)



いっそ、教習所にでも通おうかと思ったけど無理。



(そんなお金ないし、あの両親がバイクの免許を取ることを許すはずがない。)



あてにならない大人に、ため息が出る。

まだ2人乗りが不安定で、上手くいかない単車。

早く上達したくて、あれから連続で通った。

けっこう、無理して夜更かしをした。

つまりはー・・・・






(完全な寝不足なのよね・・・)





テストの前日、徹夜して勉強するけど、それとはまったく違う。

眠くて、授業が・・・特に体育が大変だけど・・・




(・・・大丈夫・・・!)



私が、ここまでのめり込むのは、目的があるから。






(瑞希お兄ちゃんに、少しでも好かれたいから・・・!!)


だから、頑張れるけど・・・・



(今日はもう無理かな~)




学校が終わって帰宅している現在。

先週は、急いで瑞希お兄ちゃんの元へ行ったけどーーーー





(・・・今日は眠ろう。)




さすがにやばいと、自覚できる眠気。

宿題も学校で終わらせたから、帰ったら寝よう。

そう考えながら、手を口元で押さえていれば言われた。




「ねぇ、凛ちゃん。部活はしないの?」

「え?」



聞いてきたのは、一緒に帰っているクラスの友達。



「・・・うん。入らない。」


(部活なんかは言ったら、瑞希お兄ちゃんに会えないもん。)




そう思いながら返事すれば、驚いたように言われた。




「えー?意外だね?文系の部活にでも入ると思ったのに。」

「そうだよ!一緒に、文学部に入らない?」

「えっと・・・・」



大人しい彼女達の言葉に、控えめに答える。
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