冷たい上司の温め方

私はといえば……田舎からやっと都会の大学に出てきて、もし就職に失敗すれば、実家に帰らなければならない。

地元なら親のツテで、いくつかは働き先も見つかるだろう。
だけど、一度都会の生活を経験すると、田舎の実家生活には戻りたくはない。


ハメを外した……というほどではないけれど、東京に出てくるまではずっと彼氏もいなかった私は、それなりに男の子との付き合いを楽しんだし、あっちの経験だって、無事に済ませた。


まぁ、男運がいいとは言い難く、その男には浮気されて、結局は別れた。
その後も、いつの間にか貢がされていたこともあったし……。



同じ文学部の久美(くみ)も聡子も、私が真面目すぎると笑った。


「美帆乃(みほの)も浮気しちゃえばいいじゃん」なんてよく言われたものの、そんな勇気もなく、結局は彼氏を失うばかりだった。

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