それでもキミをあきらめない


○。


あの高槻くんも、

世間からはじき出されてしまったような深い悲しみを、抱いていたことがあった。


……わたしのように、

すべてが嫌になってしまうくらい、胸の中で黒い感情を育ててしまった過去があった。


わたしに話してくれていたときの彼の顔が、頭の中で何度もリプレイされる。

夕日に照らされながら無表情に語っていた彼が、表情を崩した瞬間で記憶はストップする。


一時停止ボタンを押したみたいに、くしゃっと砕けた笑顔が脳裏に焼き付いてる。



――救ってくれたヤツがいたんだ。



< 149 / 298 >

この作品をシェア

pagetop