それでもキミをあきらめない


 ○。


中学生のとき、わたしは一時期、学校に行かなかった。

 
まだ自分の置かれている状況を把握できてなくて、ひとりきり、という状態に慣れていない頃だった。
 

誰かが口をきいてくれるはずだと、ちいさな希望を抱いては打ち砕かれ、心を閉じるほうがずっと楽なのに、そのやり方もわからないまま、毎日傷ついていた。
 

ひとりだけ素っ裸で教室の真ん中に座らされているように、誰かのちょっとした笑いがすべて自分に向けられたあざけりに思える。
 
そんな被害妄想がふくらんで、結局学校に行かなくなった。
 
そしてお母さんに、死ぬほど心配をかけたのだ。


< 35 / 298 >

この作品をシェア

pagetop