赤い流れ星3
side 野々村美咲




(どうしたのかしら?)



私は家に戻ると、すぐにさっきのことを美幸さんにメールした。
帰りに偶然おじいさんに会ったこと。
今しばらくは忙しいけど、来週の半ば以降は時間があるから、ぜひ、遊びにきてほしいと言付かってきたことを。
それと、おじいさんとの食事が済んで店を出ようとした少し前に、何かの話から、今夜は本当は一緒にカラオケにも行く筈だったことを話し、なぜ、行かなかったのかと訊ねられた私は、咄嗟に、帰りの車に酔って気分が悪くなったからって嘘を吐いた。
用事を思い出したっていう言い訳が、いかにもわざとらしくて嘘臭いと感じていたせいかもしれない。
おじいさんにそう言ってしまった以上、もしも、この先、その話が出たらおかしな具合になると思って、私はそのことも少し書き添えておいた。
用を思い出したといったけど、本当はあの時、車に酔って気分が悪かったのだと。
最初からそう言えば良かった…
でも、そんなことを言ったら、心配をかけてしまったかもしれないから、やっぱり用があったと言って正解だったのか…
なのに、今更こんなことを書くのはおかしいだろうかと、あれこれとつまらないことをくどくどと考えながら…



いつもなら、すぐに返信のある美幸さんから返事がない。
しばらく待っていたけど戻って来る気配もないから、私はお風呂に入った。
お風呂から上がっても、まだ美幸さんからの返信は届いてなかった。

ふと見ると、時計の針はもう真夜中の刻を指していて…
食事の後、カラオケに行くことにはなっていたけどいくらなんでもこんな時間までは歌われてないんじゃないかしら。
今日は朝早くから遊びまわったから、皆さん、お疲れの筈だもの。
もしかしたら、疲れてもう寝てしまわれたのかもしれない。
もしそうだったら悪いと思い、私はそれ以上メールを送るのはやめた。



私も疲れた。
肉体的な疲労もだけど、それよりはおじいさんから何か聞き出そうと神経を使ったせいと、いつもよりずっとたくさん喋ったせいかもしれない。

真夜中とはいえ、いつもならまだ起きてる時間だったけど、さすがに眠くなった私は早めにベッドに横になった。
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