キミとの距離は1センチ

+゚:6/ 理由と本音と、少しの予兆



+゚:6




7月に入ってから、ジリジリと肌を焼くような日差しの日が増えてきた。

最寄り駅から会社に歩いてくる間にも、じっとりと汗ばんでしまう。

社内に入ってしまえばクーラーはきいているけど、数年前から行われているクールビズの一環で、設定温度は26℃と少し高めだ。

社員たちは各々、うちわやUSBポートに繋ぐタイプのミニ扇風機などを駆使して、暑さを凌いでいる。



「……うん、いいと思うよ」



にっこり笑顔の近藤課長から放たれたその言葉に、わたしは思わず前のめりで食いついた。



「ほっ、ほんとですか?!」

「うん。だいぶコツ、掴んできたみたいだね。この調子でがんばって」

「はい……! ありがとうございます!!」



やっとのことで通った企画書を握りしめ、勢いよくお辞儀をする。

くるりと近藤課長のデスクを背にしたわたしは、気を抜けば緩んでしまいそうになる口元を企画書で隠すようにして、歩き出した。


くふふ、やった! やった!

まずは目下の目標、企画書の合格もらえたぞー!!
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