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「……雨、降りそうですね」



まだ完全には闇に包まれていない空を見上げて、ぽつりとつぶやく。

同じように、隣りにいた宇野さんも顔を上げた。



「そうだね、早く入っちゃおう」

「はい」



彼に続いて、お店ののれんをくぐる。

とたんに食欲をそそる香りが、わたしたちを出迎えた。


現在時刻は午後7時前。仕事終わり、宇野さんが連れて来てくれたのは、会社からもほど近い小料理屋さんだった。

最近できたばかりのお店で、穴場なんだって。ほんと、宇野さんは感心するくらいこういうことに敏感だ。



「どーぞ」

「あ、ありがとうございます」



甚平みたいな格好をした店員さんに案内されたのは、すだれで区切られている掘りごたつ式の個室だった。

宇野さんに促されて、わたしは奥側の座布団に腰をおろす。



「とりあえず、生ビールふたつでいいよね?」

「はい」



おしぼりを渡してくれた店員さんに、宇野さんが飲み物を伝えてくれる。

……ほんと細やかだわぁ、宇野さん。


あっという間に運ばれて来たビールジョッキで乾杯して、メニューを見ながら料理もいくつか頼んだ。



「そういや、こないだ山田がさあ……」

「あはははは!」



おもしろおかしくいろんな話をしてくれる宇野さんのおかげで、笑いが絶えない。

……都は、ああ言うけど……やっぱりわたしは、ちゃんと宇野さんのことを、すきだと思う。

だって一緒にいると、こんなに、楽しいんだもん。