「外、もう暗くなってきたわね。」

何気なく部屋の暗さに気付いたミライが窓の外を眺めて呟いた。

そういえば、気分が晴れなくて結構時間を潰してきたような気がする。

「北都様はまだ戻られてないのね。」

マリーの言葉に全員がそういえばと思い返した。

戻ってきたなら声がかかる筈、何もないという事はまだ帰ってきていないという事だ。

「珍しくないですか?北都様がこれだけ遅くなるなんて。」

少し心配になったのかミライがマリーに答えを求めた。

しかし不安になったのはマリーも同じ、同意の声をもらすと考え込んでしまう。

「そうね、前は時々遅くなることはあったけど…。」

「栢木が来てからは全くありませんでしたよね。」

また自分の名前が出るだけで意識してしまう。

栢木はなんとなく沸き上がった胸騒ぎに背筋を伸ばした。

「とにかく、お食事の準備だけはしておかないと。栢木はもう少し休んでなさい。」

「今日は北都様、自分で戻ってくるよ。前までは一人で動いてたんだから。」

今にも栢木が立ち上がりそうだったことに気付いた二人は両手を出して栢木を制止ながら釘を指し、仕事に戻るマリーに続いてミライも部屋を出ていった。

一人残された部屋に再び沈黙が戻ってくる。

ミライがくれたブラマンジェを食べようと、スプーンを持ってもそれ以上は進まなかった。

二人と会話をして少し気は紛れたものの、どこか重たい鎖が心も身体も縛り付けているようだ。

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