1%のキセキ
第1章

淡い初恋



<side 宗祐>



幼い頃からすぐ隣に住んでいる、同い年の未結といつも一緒だった。

幼稚園でも家に帰ってからも一緒に遊んで、通園もいつも決まった歩道をお互いの母親に手を引かれながら一緒に歩いて通ったのを覚えている。

その道端にはよくタンポポ、オオイヌノフグリ、シロツメ草が咲いていて、ちょこちょこ未結は道草をくっていた。

その中でも未結が一番好きだったのはタンポポで、天真爛漫でほんわかしている未結にはお似合いの花だと思っていた。


ある日の帰り道。
どこで覚えたのか、ある日未結がこんなことを言った。

『ねぇ、そうちゃん。たんぽぽ占いって知ってる?』

『ふーって白い綿毛を吹いてね、全部飛ばせたら両想いなんだって』

『でも少しでも残ったらダメなんだって』

そう言って白い綿毛になったタンポポを摘むと、すぼめた口で息を吹きかけた。

「ふーっ」

途端にふわっと空中に舞い上がる白い綿毛。

だけど、少しだけ残ってなかなか飛ばせない。

「僕がやるよ」

見かねて幼い頃の自分がかわりに息を吹きかける。

すると、ふわっと残りの綿毛が飛んでいった。

「わーい、飛んだっ」

未結の満面の笑顔を見て自分も嬉しかったのを覚えてる。

「誰と占ったの?」

「そうちゃん」

そう聞いたら頬をピンク色に染めて、にこっと笑った。

「あたってる?」

そう言われて、すごく嬉しかったのに。

恥ずかしくて、たった一言の「うん」が言えなかった。



今でも後悔することがある。

未結と過ごした少年時代に、少しでも素直になれていたら……。


未来は変わっていたのかもしれないって。



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