薫子さんと主任の恋愛事情

  5.いきなりお泊り!?


空きっ腹にビールを二杯一気飲みでテンションの上がった私は、運ばれてきた天ぷら定食を食べながらひたすらビールを飲み続け。飲んで飲んで飲み過ぎて記憶をなくした私は、どうやって家に帰ってきたのさえ覚えていない始末。

息苦しさに目を覚ましヒドく痛む頭を押さえながら起き上がると、何時なのか確認しようとしてベッドの横にある棚に手を伸ばす。

「……ん? あれ?」

ない。いつもならこの辺りに置いてあるはずの、目覚まし時計がない。

おかしいな、目覚まし時計をどこかに移動させた覚えはない。こめかみを指で押さえ頭の痛みを抑えながら、ゆっくり目を開けてみる。

薄っすらぼやけて見える窓には、シンプルな茶系のカーテン。少し顔を動かすと棚だと思っていたところには、木目調のお洒落なパソコンデスクがある。

私の家のカーテンはオレンジ色だし、こんなお洒落なパスコンデスクはない。あるのは実家から持ってきた古い棚と、子供の時から使っている学習机。それと颯のグッズに、乙女ゲームやアニメ関係ものばかり。それらが一切ないということは……。

ここは一体どこ?

重だるい身体をなんとか動かしベッドの縁に座ると、寝ぼけていた頭が覚醒し始める。

ゆっくり室内を見渡す。すると足元に服が散乱していて、よく見るとそれは私が着ていた服? もしやと思い、自分の格好を確認すると……。

「イヤッ!!」

下着の上にキャミソールだけという、あられもない格好で。慌ててベッドの中に入り込むと、何やら温かいものに手が触れた。



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