カモフラージュ~幼なじみ上司の不測の恋情~
先に戻った私は逸希の手が触れた部分に手を重ねた。


彼の温もりを感じたのは初めてじゃない。



あの日の夜も感じていた。


鼓動は未だに逸希の抱擁に翻弄されて高鳴ったまま。熱の帯びた頬も当分冷めそうにない。


資料室に置き去りにされてしまった逸希はなかなか執務室に帰って来なかった。彼自身も浅はかな自分の行動に反省の意を示しているのかもしれない。



ようやく、30分後・・・

逸希が執務室に戻って来た。


「鍵返します。植野チーフ」


「はい・・・」


心臓の鼓動もようやく平静に戻ったが、彼の顔を見ると再び鼓動が早鐘を打つ。



初日からこんな状態では、仕事にならない。



彼の存在自体が私の心の中に大きな波紋を広げた。




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