スイートな御曹司と愛されルームシェア
第四章　ほだされました
　咲良の実家では、母が玄関先で待ち構えていた。

「初めまして。咲良さんとお付き合いさせていただいている楢木翔太と申します」

　翔太が礼儀正しくお辞儀をしたので、母がかしこまった様子で頭を下げた。

「あ、いえ、こちらこそ、急なお誘いなのにわざわざどうも……」

　本当に恋人がいるのなら今日連れてきなさい、と偉そうに言っておきながら、何を恐縮しているのだろう、と咲良は内心おかしかったが、真面目な顔を保った。

「リビングへどうぞ。咲良の妹とその恋人も来てるんです」

　スリッパを履いた翔太とともに咲良がリビングに行くと、三人掛けのソファに百々花と恋人の貴裕が並んで座っていて、一人掛けのソファに父が座っていた。空いているのは一人掛けのソファが一つと二人掛けのソファが一つ。

「初めまして。楢木翔太です」
「あ、どうも」

　父が腰を浮かせて軽く会釈した。

「お姉ちゃんたちはそっちへどうぞ」

　百々花が二人掛けのソファを示したので、咲良はチラリと翔太を見た。

「では、失礼します」

　そう言って翔太が腰を下ろしたので、咲良もソファに近づいた。その彼女を、百々花が探るような眼差しでじっと見ている。本当に彼氏なのか見極めようとするかのような目つきに、咲良の動きがぎこちなくなる。
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