Kiss of a shock ~涙と~
第6章 「廻る」
その日は、朝から雨が降っていた。


遠くで雷鳴が轟いているのが聞こえる。


まさに、今のシチュエーション+心境にぴったりだと思わざる終えない。


仕事は健二から社長の考えを聞いたあの翌日に辞めた。


社長に真偽を問うのはバカらしい。


どうせ分かっている。


健二くんは嘘は言っていない。


それは間違いなく事実だと、確信している。


人間なんて、そんなものなんだから・・・。


『許さない、尾山』


万理香はその言葉を思い出して身震いした。


パパ・・・あれは、・・・どういう意味?


尾山って・・・


健二くんの、お父さんのこと・・・?


分からない。


父と母を死に追いやり、私から全てを奪った人は・・・誰なの?
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