Kiss of a shock ~涙と~
第7章 「微熱」
直人の背中から下ろされて、万理香は濡れた髪を撫でた。


もう、びっしょりだ。


「悪い、今開けるからちょっと待って。」


「あ、いえ・・・。」


万理香の住むマンションとはあまりに違う大きな一戸建てのおうちだ。


もしかしたらお金持ち、だったりするんだろうか・・・?


でも、あちこち傷んでいるふうには見える。


くしゅん


思わずくしゃみをした万理香を振り返ると、直人は大丈夫かと声をかけた。


「あ、大丈夫です。」


やっぱりちょっと寒い。


けど、そう言うのも何だから、とりあえず水滴の滴るドレスを掴んで軽く絞ってみた。


「入って。」


扉を開けた直人に促されて、万理香は小さく会釈して家に入った。
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