窓から入るひんやりとした秋風がふわりとカーテンを揺らす。


冬に向けてそろりそろりと歩む季節を余所に、来週に控えた文化祭の準備で学校中が騒がしい。


浮き足立った雰囲気がどこか落ち着かない。




「スバル、待ってっ。
暗幕も取りに行かなきゃ」



聞きなれた澄んだ声に、体が反射的に反応する。


見たくないな、と思った時には目が勝手に声の方を向いていた。




休み時間。


数学室から見下ろした渡り廊下に、仲の良さげな二人の姿が見えた。


大きいのと小さいの、ーー相川と浅田だ。



…実行委員だもんな。



自分に言い聞かせるように、頭の中で独り言ちる。


備品を取りに行くのだろう二人を頬杖をついてぼんやりと眺めていると、視線の先で相川が何か言って浅田の頭をくちゃっと撫でた。


浅田は乱れた髪を整えながら、少し頬を膨らませて嬉しそうな相川を見上げて微笑みかける。



もう見慣れた光景。



…いや、慣れていないか。



ジリジリと灼けるような熱さを胸に感じながら、俺は深くため息を吐いた。



浅田と付き合うようになって5ヶ月が経つ。


けれど、俺は相変わらずで、あんなふうに頭を撫でたり一緒に笑い合ったりを堂々とできる相川を、羨ましく思っていた。


進歩のない自分に嫌気が差す。



彼女が俺を好きだと言ってくれたら、厄介な独占欲や醜い嫉妬心は治まると思っていた。


手に入らないから独占したくなる。


苦しいくらいの想いも灼けるような痛みも違うものに変わって、きっと穏やかな気持ちで彼女を見守ることができる。


そう思っていた。



でも、実際は浅田と同じ速度で歩いていける相川に、俺はいつも嫉妬していた。

この作品のキーワード
先生  胸キュン  溺愛  切ない  甘々  ドキドキ  意地悪  年の差  禁断  秘密